二藍(ふたあい)|源氏物語にみる和の色の世界
2022/04/18
源氏物語によく出てくる『二藍(ふたあい)』って?
源氏物語の中には、色鮮やかな情景や、たおやかなお香の香りをイメージさせる場面が、あちらこちらに散りばめられています。
彩り香のおけいこでワークしていただくお香の、歴史的背景をお話しする時、必ず触れたくなるのが源氏物語の世界。
源氏物語は、「紫のゆかりの物語」です。
作者は紫式部。
光源氏の最愛の人は紫の上。
許されぬ真の思い人は、藤壺の女御。
朧月夜との関係も、右大臣家の藤見の宴がきっかけ。
光源氏自身も、息子夕霧が右大臣家に挨拶に赴く折、二藍の色合いについて注意しています。
内容は「二藍という色も赤みが強いのは、いかにも若い人って感じで、軽く見られるから、青みの強い方がいいよ。私のを着ていくといいよ。」といった感じです。
二藍というのは、
二つの藍色ということ。
藍というのは「色があるよー。無色じゃないよー。」ということの総称。
赤も黄色も青も緑もみーんな藍。
て、混がらがりますね。
古代、唐の国から伝わった赤が、とても鮮やかで美しくて『唐から来た藍 → からあい → くれない → 紅』と転じていったとされています。
中でも、濃い紫は特に高価な色とされ、身分の高い人しか身に着けることを許されない色でした。
こうして「色が選べる」というのは、特権階級であることの証でもあるんです。
『二藍』という色は、かさねの色目においても、よく使われた色でした。
紫を色彩心理でみてみると、性質が対極にある赤と青が混在した不安定な色。
「もののあわれ」を重視した生活を送っていた彼らにとって、この不安定さは、むしろ取り入れたいものとなり、最も惹かれる色だったのかもしれませんね。
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