東雲色(しののめいろ)
2024/02/29
東雲・・・しののめ、と読みます。
東雲さんという名字を持つ人も、北海道を始めとして、全国に約700人おられるそうです。
東雲色(しののめいろ)とは読んで字のごとく、東の雲の色です。
東といえば、朝の太陽が顔を出す方角。
この色は夜が明け始める頃の、東の空の色なのです。
江戸時代には、曙色(あけぼのいろ)とも言われました。
枕草子の最初の一節・・・・
春はあけぼの
やうやう白くなりゆく山ぎわ
少しあかりて
紫だちたる雲の
ほそくたなびきたる
<フジタ訳>
春は、絶対、あけぼのの頃がいい!
あけぼのっていうのは、夜が明けて、太陽が顔を出す頃。
空と山との境界のあたりが、はっきりしてきて、だんだん、東の空が明るくなってくるのよね。
雲に反射した光が、紫色っぽく見えて、その雲が細く流れていくのが、とってもステキ!
この、だんだん明るくなる様を表現したのが、今に残る『ぼかし』という手法。
着物や帯揚げ、八掛など和服関連のものや、和紙などにも、多岐にわたって取り入れられています。
『しののめ』というのは、篠竹(しのだけ)で編んだものの目、というのが、色名の由来。
篠竹は、比較的、どこでも手に入る素材です。
『しの』は、弾力性のある竹が、しなう様子から付けられた名です。
篠は、小竹とか細竹とか書かれることもあり、幹の部分を指します。
葉っぱは、笹(ささ)ですね。
篠は、用材として、すだれ、網戸、垣根などに使われます。
古くは、住居の建具として、入り口に篠で編んだすだれのようなものを使っていたとか。
今の私たちがイメージするなら、ラタン家具みたいなものかなあ?
朝は、そこから差し込む陽の光で、夜が明けたことを知ったことから『篠の目』は、夜明けを表現することになりました。
夜明けを知らせる‥‥なんとも美しく、ありがたいものだと感じたのではないでしょうか。
『東の雲』という字を当てた人のセンスもステキだと思いませんか?
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