縹色(はなだいろ)
2024/01/17
縹色と書いて、「はなだいろ」と読みます。
日本最古の「青色」です。
大陸から染色技術や染料がやってくる以前の青は、非常に褪せやすく、雨に当たると流れてしまうといった難点がありました。
これは、つゆくさの花弁から搾り取った青でした。
後に、この水溶性という特徴を活かして友禅の下描きに用いられ、それは今も続いています。
花弁から採った色、ということで『花色』と呼ばれています。
「水に流れない色」
それは、大陸からやってきました。
大陸(中国)からもたらされる色は、どれも、美しく鮮やかでした。
この時代、大陸からの色=藍(あい) と呼ばれました。
赤も藍、青も藍、全て藍だったのです。
そんな中で、藍染めの技術を得た日本では、染色において独自の発展を遂げていきます。
日本書紀にも『こきはなだ(濃縹)』 『あさはなだ(浅縹)」として、その名称が出てきます。
BLUEという色は、世界中で最も愛される色、と称されますが、私たちの先祖もその例外ではなかったようです。
藍だけで、染めたものの濃淡を『縹色(はなだいろ)』といいます。
平安時代中期に編纂された『延喜式』の中で、縹色は段階別に色の違いが示されています。
この中で、縹色(はなだいろ)と言われるのは、『中縹(なかはなだ)』に該当するようです。
この藍に、苅安(かりやす)や黄檗(きはだ)混ぜて出来上がるのが『藍色(あいいろ)』です。
藍染めのBLUEが染めあがるまでに、様々な色の段階があります。
藍染の液につけたものを、引き上げてすぐは、緑色っぽい感じ。
それが空気に触れて段々、青っぽくなってくるのです。
これをくり返すことで、色の変化を楽しむことができます。
ここにも『縹色』という色名が出てきます。
代表的な色としては、以下の通り。
日本書紀の完成を見届けた元正(もとしょう)天皇の時代、藤原仲麻呂の主導の元で制定された『養老律令(ようろうりつりょう)』には、縹色が、身分を表す色としても使われています。
8位の位には、深縹。初位には、浅縹。
ただ、平安後期にもなると、下級官僚は緑袍(りょくほう)と称して、緑に混じって縹色のものを着ている者もあったようです。
青と緑の境界線は、昔から曖昧なままのようですね。
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