女郎花(おみなえし)
2023/11/01
女郎花(おみなえし)は、秋の七草のひとつです。
『春の七草』は食する七草ですが、『秋の七草』は観賞して楽しむ7つ。
秋の七草と言われる所以は、万葉集に収められた、山上憶良の歌からと言われます。
「秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種(ななくさ)の花」
その7つとは、「萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 藤袴 朝貌の花」と詠んでいるのです。
尾花とは、ススキのこと。
最期の「朝貌(あさがお)」は、桔梗のことというのが、現在の定説になっています。
これらの花は、観て楽しむ他にクスリとしても重宝されました。
女郎花には、消炎、排膿、浄血作用があり、生薬としての名は「敗醤根(はいじょうこん)」といいます。
平安時代になっても身近な花だったようで、源氏物語などにも、その色名は登場します。
光源氏が、野分の見舞いに女君たちのところへ回った際に訪れた、玉鬘とのやりとりの場面。
玉鬘が
「吹き乱る風のけしきに女郎花 しをれしぬべき心地こそすれ」
風で倒れた女郎花に例えて
あなたの無体な気持ちに、私は倒れて死んでしまいそうです・・・
ストレートに言えば
「迷惑です!嫌です!」ということですよね。
光源氏の答えは
「した露に なびかましかば 女郎花 あらき風には しをれざらまし なよ竹を見たまへかし」
彼女の言う「風」は、自分。女郎花が「玉鬘」だとわかった上で
はじめから、自分になびいていたら、風が吹いてもしおれなくて、すんだでしょう。
ほら、しなやかな竹をみてごらん!
なんて、しれーっと返事しています。
秋のかさねの色目として、使用頻度も多々あったようです。
かさねの色目というのは、色の異なる二枚の薄衣を重ねる方法と、色の異なる糸を経糸と緯糸に使い新たな色を作りだす方法がありますが、女郎花のかさねには、その両方を使うこともあったようです。
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