漆黒(しっこく)
2022/03/22
漆黒(しっこく)とは、漆(うるし)の黒色のことです。
艶やかで深みのあるこの黒い色は、その昔、ヨーロッパの人たちにとって憧れの黒でした。
漆器は、英語で『Japan』と呼ばれます。
江戸時代、鎖国政策を敷いていた日本でしたが、唯一、長崎においてのみオランダとの交易を許可していました。
漆器は、ここからヨーロッパに渡ったのです。
当時のヨーロッパには、このような黒色の塗料はなかったので、たちまち人々を魅了したようです。
漆器のように、引き込まれそうな深い黒色を求めて、塗料の開発が行われ、それは、ジャパニングと呼ばれていたそうです。
実際の漆器の黒は、ウルシノキから採取した樹液を使います。
生漆を精製する過程で、鉄粉を加えるとその成分が反応して黒漆となります。
この時、鉄粉ではなく、べんがらや辰砂という赤い顔料を加えると、朱漆になります。
漆黒というのは、黒の中の黒、真に黒い色、といった意味で、純白の対義語になります。
白と黒、光と闇、天使と悪魔……
何故だか、いつも黒い方が「ワルモノ」になってしまいます。
元々「くろい」は「暗い」が転じて生まれた表現。
黒い、というのは状態を表す言葉でした。
はるか昔、人工的な明かりがなかった時代・・・
月の明かりがない夜は、自分自身の手さえも見えない状態だったことでしょう。
何も見えない漆黒の闇は、人にとってはとても怖ろしかったのではないでしょうか?
黒には恐怖や不安を連想させるキーワードがあって、ネガティブなイメージにつながるのは、そういった経験が、人としての集合的無意識に刷り込まれているのかもしれません。
黒が、カッコいい!
と思えるのは、今いる場所が、命の危険にさらされることのない、平和な時代だからなんですね。
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