今様色(いまよういろ)
2023/01/28
『今様』というのは、今風(いまふう)、最新の流行りということです。
反対語としては、「古式」「懐古」といった言葉がでてきます。
平安時代って、今の私たちから見れば昔むかしですが、その時代に生きていた人たちにとっては、今現在。
いつの時代も、人は、美しいものに惹かれます。
この今様色は、平安時代に大流行した色。
実は、この時代には色見本帳のようなものがあるはずもなく、文献によって、指し示す色が違っていたりします。
けれど、平安時代に書かれた「源氏物語」の中で、作者の紫式部はこの今様色を
「高貴な身分の人が着る色」として扱っているので、禁色の濃紅ほどではない程度の鮮やかさがあったことと思われます。
紫式部は、女三ノ宮が出家したあとに着ていた衣を、このように表現しています。
<36帖 柏木より>
すぎすぎ見ゆる鈍色ども、黄がちなる今様色など着たまひて、まだありつかぬ御かたはらめ、かくてしもうつくしき子どもの心地して、なまめかしうをかしげなり。
(現代語訳)次々と重なって見える鈍色の袿に、黄色みのある今流行の「今様色」のピンクの上衣を着ていて、まだ尼姿がしっくりこない。
こうなっても可憐な少女のような気がして、優雅で美しい。
出家したとはいえ、まだまだ若い女性ということを「今様色」という色を使って、イメージさせています。
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