虫襖(むしあお)
2024/12/13
『襖』という字は、一字で『ふすま』と読みますが、この色は『むしあお』と読みます。
よく似た色で、『比金襖(ひこんあお)』というのがあります。
襖というのは、もともと、衣服のあわせや綿入れの事でした。
平安時代の住居といえば『寝殿つくり』
夏の風通しを重視してつくられたものでした。
当然、冬は寒いです。
そんな中、寝所の間仕切りとして使われたのが、板状の衝立。
これに絹の裂地を貼ったのが、襖(ふすま)と言われたようです。
「ふすま」は、衾せる間、つまり、寝る所のことです。
それが建具として発展し、軽量化のために、裂地を桟(さん)に貼るようになりました。
鎌倉・室町時代になると、寝殿つくりから書院作りへと移行し、建具としての襖の役割は、また変化していくことになりますが、その原型が、すでに普及していたようです。
『源氏物語』にも、引き違いの襖障子のある風景が、ありふれたものとして扱われています。
「玉虫色の答え」、「玉虫色の結論」など、よく使われる表現ですが、実は、『玉虫色(たまむしいろ)』という色は、存在しないのです。
玉虫の翅(はね)の色は、光の加減や見る角度によって異なる色合いに見えます
なので、見方によってどのようにも解釈できるあいまいな表現として使われます。
名前の由来であるヤマトタマムシの翅を装飾に使っていることで有名なのが、『玉虫厨子(たまむしのずし)』。
奈良、法隆寺に伝わる国宝です。
昔の人も、表現のしようのない美しい色を、なんとか残したいと考えたのかもしれないですね。
ということで、『虫襖(むしあお)』というのは、ふすまを貼るのに使われた美しい裂地から、ついたのではないでしょうか?
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