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鈍色(にびいろ)

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鈍色(にびいろ)

鈍色(にびいろ)

2024/07/02

鈍色(にびいろ)の『鈍』という字は、鈍感(どんかん)・鈍い(にぶい)というように、『さえない』ときに使いますね。

色みがなくて、にぶく濃い色を鈍色(にびいろ)と呼びました。

平安時代でも、人が亡くなるというのは気持ちが落ち込んだことでしょう。

この色は、喪に服するときに着用されました。

亡くなった人との関係が近ければ近いほど、濃い鈍色を着たといわれています。

今、NHKで放送されている『光る君』でも、高畑充希さん演じる、藤原定子が母親が亡くなった際の衣装で着ておられましたね。

源氏物語のもう一人の主人公、紫の上が光源氏に引き取られるきっかけになったのが、彼女の祖母である尼君の死でした。

源氏物語第5帖『若紫』では、まだ10歳の彼女が喪に服する衣装を『鈍色のこまやかなる』と書かれています。

濃い灰色の衣装が、痛々しくて可愛らしい様子が伺えますね。

 

その後、光源氏の正妻、葵の上が出産の後、亡くなってしまいます。

この頃の習慣として、妻を亡くした夫は、3ヵ月、裳の服したので、光源氏のその間の衣装の色は濃い鈍色でした。

 

そんな彼のもとに弔問の手紙が届きます。

差出人は、生霊となって葵の上を苦しめた六条御息所。

 

菊のけしきばめる枝に、濃き青鈍の紙なる文をつけて

(菊の枝に濃い青鈍(あおにび)に染めた手紙をつけて)

 

というように、着るものだけでなく、喪中の人への手紙なども、鈍色に準じた青鈍(あおにび)や紫鈍(むらさきにび)を使いました。

この鈍色をつくるには、鉄分を含んだ金気が不可欠なのだそうです。

できたものは『鉄漿(かね)』といい、これが「お歯黒(おはぐろ)」に不可欠な素材なのだとか。

今では考えられないけれど、この時代は、黒い歯が美しいとされたのでした。

 

平安時代は、さえない時に用いられた『鈍色』は、時代が下り、江戸時代になると別の形で注目されます。

いわゆる四十八茶百鼠といわれ、グレーがオシャレで粋な色として扱われるようになるのです。

 

流行は作り出される・・・今も昔も変わりませんね。

 

鈍色は、こんな色

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