煎茶色(せんちゃいろ)
2023/09/07
あれ?煎茶って、緑色じゃないの?って思っていませんか?
実は『煎茶』は『煎じ茶』のこと。
煎じるとは、煮詰めるということで、本来は、茶葉をグツグツ煮てできるお茶が『煎茶』なんです。
現在のような、緑色のお茶が出てくるのは江戸時代中期以降。
それまでは、ほんとうに『茶色』だったのです。
江戸時代、摘んだお茶の葉を「蒸す」または「湯がく」などして、それを日光と焙炉(ほいろ)により乾燥させていました。
その茶葉を湯で煮出して、飲んでいたので『煎じ茶』と言いました。
そんな茶色の煎茶を、緑色で甘みのあるお茶にする製法を編み出したのが、宇治田原郷の永谷宗円(たがたにそうえん)。
これを『宇治製法』と呼び、18世紀以降は日本茶の主流になっていったのでした。
ところで、せっかく、急須で入れた美味しいお茶も、時間が経って茶色に変化して、少し苦味が出てしまった、という経験はないですか?
これは、お茶の成分のひとつである、カテキンが酸化することによる現象。
酸化することにより、タンニンという成分になって色が変わりますが、カラダに悪影響があるわけではありません。
ただ、タンニンを摂りすぎると、胃の粘膜を荒らしてしまいます。
お茶は、適量を淹れて、すぐに楽しむというのがいいようですね。
お茶は、奈良時代、遣唐使によって日本にもたらされました。
ただ、「嵯峨天皇に、大僧都(だいそうず)永忠が近江の梵釈寺において茶を煎じて奉った」という記述が、『日本後記』にあるように、僧侶や貴族階級など、一部の人が口にしたようですが、高級品すぎて、広まることはなかったのでした。
これが、広く知られるようになったキッカケに、臨済宗の開祖である栄西がいました。
彼が、宋で学んだ『禅』では、僧によって『茶礼(されい)』という儀式がありました。
日本に帰り、『禅』を布教するにあたり、この『茶礼』を取り入れたのでした。
これが、当時の鎌倉幕府の将軍、源実朝にも気に入られ、武士たちに広まっていったことが、結果的に茶道や香道の発展につながっていくのですが、その辺りのお話しは、是非、9月の彩り香のおけいこで聴いてください。
お茶とお香・・・
共通する所には、一休さん こと 一休禅師が登場します。
----------------------------------------------------------------------
彩り香
〒600-8415
京都府京都市下京区因幡堂町651
電話番号 : 050-1558-3278
----------------------------------------------------------------------