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二人静(ふたりしずか)

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二人静(ふたりしずか)

二人静(ふたりしずか)

2023/07/31

『二人静』って、ちょっと変わった色名ですね。

能の演目としてあったものを、足利義政が舞った際に使用した衣装から、この色名が付きました。

 

足利義政は、室町幕府の8代将軍で、彼がいなければ今の日本文化はなかったかも?といえるほど文化事業にチカラを注いだ人でした。

その彼が、後に『二人静金襴』といわれる濃い紫に双鳳丸文をあしらった衣装を着用したのでした。

『二人静』という色は、金糸がよく映える、濃い紫です。

※国立博物館 画像 

後に、江戸の茶人、橘屋宗玄がこれの裂(きれ)を所持していたことから『橘屋金襴』とも呼ばれる、極上の名物裂。

能では、吉野山の勝手神社の神職から、若菜を摘んでくるように頼まれた女性に、静御前の霊が乗り移り、舞を舞うという筋になっています。

『しずやしずの おだまき繰りかえし・・・』 

静御前といえば、言わずと知れた源義経の愛妾。

東北に旅立つ義経と別れた彼女は、源頼朝の手下につかまり、鎌倉へと送られました。

白拍子の彼女は、頼朝の前で、舞をひとさし舞うよう命じられます。

その時、義経をしのぶ歌を詠んで、彼を激怒させます。

その歌が、有名な

「しづやしづしづのをだまき繰り返し昔を今になすよしもがな」

(しず布を織るために糸を巻くおだまきのように繰り返す、昔であったらどんなに良いことか)

~静、静、と繰り返し私の名を呼んだあの人が、輝かしかった頃に今一度、戻りたいものだ。

この『吾妻鑑(あずまかがみ)』に書かれた内容をもとに、若菜を摘んでくるように頼まれた女性(ツレ)と、静御前(シテ)のふたりで舞うのが、能の二人静です。

<フタリシズカ>

4月から6月ころに花をつける「フタリシズカ」も、実は、この能の話が名前の由来になりました。

白い可憐な花ですが、有毒なので鹿も食べない、とのことです。

頼朝の前でも臆せずに、愛した人との昔日の思い出を懐かしむ歌を詠むなど、その強さも名前の由来になったのかもしれませんね。

 

フタリシズカの花言葉は、「いつまでも一緒に」だって。

ちょっとキュンときますね。

二人静は、こんな色

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