萌黄色(もえぎいろ)
2023/04/08
萌える、というのは「芽が出る」という意味です。
出てきたばかりの草木の新芽の色が、萌黄色(もえぎいろ)です。
色彩心理においても、この、黄味を帯びた明るいグリーンには、『若々しい』『フレッシュ』『未熟』といったキーワードがあります。
かさねの色目でも、若向きの色とされましたし、武士の鎧兜の糸飾り紐なども、若い人には、この色が好まれたようです。
組織でいうなら、まだまだ慣れていなくて失敗もあるかもしれない新人が身につける色、なんてところでしょうか?
周りからは、ひと目でわかるから、皆で温かく見守ってあげましょうなんて思われるかもしれません。
だけど逆に、これが許されることに慣れてしまうことで出てくる『甘え』というキーワードも持っているのです。
そして、読みが同じ『もえぎいろ」というのが、江戸時代には変化してきます。
『萌葱色』と書いて、文字通りネギの色になるんです。
貴族が文化の中心にいた平安時代から、武士が中心になった時代を経て、江戸時代は庶民を中心とした文化が花開きます。
幕府に様々な規制を受け、押さえつけられるからこそ生まれてきた『粋(いき)』という価値観。
萌え出てきたのは、光溢れる若々しさではなく、寒さの中でも伸びていく、力強さを表現するものではなかったのではないでしょうか?
色に対する豊かな感性を持つ日本人だからこそ、同じ読みでも、違った漢字を当てて、それを表現したのではないかと思うのです。
ということで、萌黄色と萌葱色の違いは、時代の違いということでした。
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