浅葱色と浅黄色、どっちが正しい?
同じ読み方でも色は全く違います
先日テレビで、90年代の懐かしの歌特集をやっていました。
次々聞こえてくる懐かしい曲・・・。
メロディーと共によみがえる数々の思い出・・・。
そんな中、始まったのが『精霊流し』
去年のあなたの思い出が
テープレコーダーから流れてきます
・・・・・
あなたの愛した母さんの
今夜の着物はあさぎいろ
?????
色?あさぎいろ?
それまで、歌詞と共に目の前に浮かんでいた情景が途切れます。
というのは、「あさぎいろ」には2種類あるからなんです。
1つは『浅葱色』、もうひとつは、『浅黄色』
色は全く違います。
歌に出てくる「あさぎいろ」は、どっちだと思いますか?
浅葱と浅黄、どちらも混同されながら平安時代から使われていた色名です。
<浅黄>
浅黄は、本来は「あさきき」と読みます。
黄色の浅い色。対して、黄色の深い色、深黄(ふかきき)という色もあります。
黄色は、苅安という草、黄蘗という木の皮、クチナシの実など今でいう草木染め。
江戸時代より、はるかに色を作りだすことが難しかった時代だからこそ、色に対する思いも深いものだったのかもしれません。
繊細な色の変化を楽しみました。
<浅葱>
平安時代、都のあった京都では、葱と言えば青ネギ。
すき焼きに欠かせないのは、この葱です。
「葱色」と聞けば、あのツヤのある緑色が浮かんだことでしょう。
布を葱色に染める時、まだ染め方の足らないうすい色を「あさぎいろ」と表現していました。
そして、「あさぎ」という話し言葉を文字として残す時に当てた漢字が「浅葱」となったり「浅黄」と混同して記載された、というのが本当の所のようです。
そして、江戸時代には『浅葱色』が主流となっていきます。
これは、江戸時代に爆発的に大流行した『藍色』と無縁ではありません。
(浅葱色の詳しい話は、和の色コラムを是非お読みください)
平安時代と江戸時代の間には、戦国時代があります。
戦になれば、武士でなくても足軽として駆り出されます。
明日をも知れぬ自分の命。
人が人によって殺される時代を経て、ようやく得たの「平和」な時代、人々が求めたものは「落ち着きの中での変化」だったのではないでしょうか。
その極みが、粋(いき)の文化に発展していったと思うのです。
いかにして「粋」を演出するか?
それが、平安時代とはまた違った別の意味で、色に対する思いから、繊細な色の変化を楽しむようになるのです。
彩り香のおけいこ12では、お香や色から、その時代の変化・トレンドを知り、今に続く私たちの「あたりまえ」のルーツを探ります。
タイミングが合えば、是非、ご参加ください。
あ、そうそう、『精霊流し』に出てきたあさぎいろは、歌詞を検索すると「浅黄色」になっていました。