黄櫨染(こうろぜん)
2024/11/13
黄櫨染と書いて『こうろぜん』と読みます。
天皇しか着ることの許されない色。
実は、光の当たり具合によって、色が変わる特別な色なのです。
一見、黄土色やゴールドに見えるのですが、太陽が当たると赤くなる、という特徴があり、それは『太陽を内に持つ』とも言えます。
唯一無二の太陽を内に持つ衣を、身につけて良いのは、一国の主である天皇だけ……というのです。
現在の徳仁(とくひと)天皇が即位なさる折に、テレビなどでも披露されたので、目にされた方も多いかと思います。
この黄櫨染という色は、820年、嵯峨天皇による詔(みことのり)が出されて以来続く特別な色。
皇室の特別な行事の折に着用されるものです。
皇室の公式行事も洋服で参加されることが普通になった現在では、中々お目にかかることは難しいですね。
まず櫨(はぜ)で黄色に染めたものに、蘇芳(すおう)を重ねることで、この色ができるということです。
これは、927年に編纂された延喜式(当時の国の様々な事柄に関しての決まり事を記した書物)に記されています。
ただ、その材料の記録はあっても、どのくらいの量を、どのくらいの時間をかけて染め上げていくのかといった具体的なことは、何一つわからないまま。
この色に限らず、この時代の色を再現するのは非常に難しいことなのです。
上の写真は、そんな中、黄櫨染の再現に尽力された奥田祐斎氏の作品。
『夢こうろ染』と名付けられました。
以前、嵐山の工房にお邪魔した折りに、撮影した写真です。
祐斎氏に色々ご説明をいただきながら、実際に色が変わる不思議な色体験をさせていただきました。
ライトを当てるだけで、一瞬で色が変わる様は魔法を見ているようです。
昔の人が「おそれ多い」と感じたのも、当然のように思いました。
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