丹色(にいろ)
2024/02/16
丹色(にいろ)の『丹』は、赤土のことです。
土の中の水銀と硫黄(いおう)が化学反応を起こした結果、できる色です。
そして、鉛の酸化物である『鉛丹(えんたん)』も、上質で高価な『辰砂(しんしゃ)』も、あまり区別せずに『丹(に)』と呼ばれました。
なので、以前、ご紹介した『銀朱』も、ある意味、丹の仲間です。
この丹を使って、神社の鳥居や社殿に彩色したものを『丹塗り(にぬり)』といいます。
古事記や日本書紀といった日本最古の歴史書に出てくる色の名前は、たった6つ。
「白、黒、紅(あか)、赤(あか)、丹(に)、青」これだけです。
この中の『丹』は「丹摺の袖(にずりのそで)」という表現にでてきます。
摺る、というのは、こすりつけて色を付けるという方法なので、水にぬれると流れ落ちてしまうのです。
それでも、袖にこの色をつけたかった、ということなのではないでしょうか?
そもそも、神社などにこの色が使われるのには、『魔よけ』のためと考えられます。
赤には、そのパワーがあると信じられていました。
というのは、食べられる植物を育てるチカラのある太陽や、命に直結する血のイメージ、それに襲ってくる獣さえ怖がる火の威力。
その強力な色のパワーが、目には見えない『魔』をしりぞけ、場の神聖さを保てると考えたのではないでしょうか?
あをによし 奈良の都に咲く花の におふが如く 今さかりなり
(万葉集 小野老)
これは作者が平城京の美しさを、称賛して詠んだ、望郷歌とされています。
平城京は、唐の都、長安そっくりに計画された都市でした。
奈良にかかる枕詞の『あをによし』は、青丹よし。
白い壁、青緑の瓦、そして丹色の柱が色鮮やかな、極彩色の都。
花が満開に咲き誇った時のように、繫栄していた都の様子を思い出したのかもしれないですね。
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